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豆知識2026/5/21

犬にも『利き足』がある?最新研究が解き明かす左右どっち派の見分け方と性格との意外な関係

人間と同じように、犬にも『利き足』があることをご存じですか。約18,000頭を対象にした大規模研究では、約74%の犬に明確な左右どちらかの好みが確認されました。利き足の見分け方、性格との関係、飼い主の利き手との不思議な相関まで、最新の研究知見をまとめました。

利き足雑学動物行動学犬の性格
犬にも『利き足』がある?最新研究が解き明かす左右どっち派の見分け方と性格との意外な関係

おもちゃを取るとき、おやつに手を伸ばすとき、ソファに乗るとき──愛犬がよく使う前足は 「左」と「右」のどちらか、決まっていませんか?

「気のせいでは」と思うかもしれませんが、近年の動物行動学研究では 「犬にも人間のような“利き足”が存在する」 ことが、繰り返し確認されています。約18,000頭の犬を対象にした世界最大級の研究では、74%の犬に明確な前足の好み(パウ・プリファレンス)があり、しかもその傾向は 性別・年齢・飼い主の利き手との関係性まで が浮かび上がってきました。

さらに最新の研究では、「左利き犬」と「右利き犬」では ストレス反応や認知のクセに違いがある可能性 までもが指摘されています。

この記事では、犬の利き足を自宅で簡単に調べる方法、性格との関係、飼い主の利き手との不思議な相関、そして利き足を知ることで愛犬との暮らしがどう豊かになるのか──最新の研究結果を踏まえてやさしく解説します。


結論:犬の約7割に「利き足」があり、暮らしぶりにも影響する

先に要点をまとめておきます。

  • 大規模調査によると 約74%の犬に明確な前足の好み がある
  • 利き足を持つ犬のうち 右利き約58%・左利き約42% で右がやや多い
  • メス犬は右利きに、オス犬は左利きになりやすい傾向
  • 飼い主が左利きだと、犬も左利きになる確率が高まる
  • 左利き犬は新しい刺激に「やや慎重」な反応を示す という報告もあり、感情的なクセが利き足に表れる可能性がある

つまり、利き足は単なる雑学ではなく、愛犬の性格やストレスへの反応を理解するヒントにもなるのです。


1. そもそも「利き足」とは?──研究で測られている定義

人間で言う「利き手」と同じで、犬の利き足とは 「何かをするときに無意識に先に出す前足」「より器用に使える前足」 のことを指します。

動物行動学の研究では、次のようなテストで利き足を測定するのが一般的です。

  1. コングテスト:中におやつを入れた知育トイ(コングなど)を床に置き、犬が押さえる前足を観察する
  2. 粘着テープテスト:軽くテープを鼻先に貼り、最初に取ろうとする前足を記録する
  3. おすわり→おて テスト:「おて」と言ったときに自然に出る前足を見る
  4. 階段や障害物:1段目に踏み出す前足を観察する

これらを 10〜50回以上繰り返し、出現確率に偏りがあれば「利き足あり」と判定します。1回や2回では判断できない、というのが研究上のお約束です。


2. 「世界最大級の研究」が明かした驚きのデータ

ベルファスト・クイーンズ大学の研究チームは、約18,000頭の犬の飼い主に協力してもらい、犬がドアを開けるとき・おもちゃを押さえるとき・初めて階段を降りるときなどの様子を記録するアンケート調査を行いました(Wells et al., 2021)。

その結果は次の通りです。

項目 数値
明確な利き足を持つ犬 約74%
右利き犬 利き足ありのうち 約58.3%
左利き犬 利き足ありのうち 約41.7%
どちらでもない(両利き的) 約26%

人間が圧倒的に右利きに偏っているのに対し、犬は 「人間ほど偏っていないが、わずかに右利き優勢」 という構造が見えてきます。

性別と年齢でも傾向が違う

同研究では、性別による傾向も報告されています。

  • メス犬:右利きになる確率がオスより高い
  • オス犬:左利きの割合がやや多い
  • シニア犬:左右どちらかの偏りがより強まる傾向

人間でも女性のほうが右利き比率が高いと言われており、これと似た構造が犬にも見られるのは興味深いポイントです。


3. 飼い主の利き手と犬の利き足には「相関」がある

2022年に Animal Cognition 誌に掲載された研究では、もうひとつ面白い事実が示されました。

それが 「飼い主が左利きだと、犬も左利きになる確率が高い」 という相関です。

研究者は、これを次のように考察しています。

  • 子犬期から飼い主の動作を観察し、それを模倣している可能性
  • 食器・おもちゃ・おやつの置き方が、飼い主の利き手側に偏ることでの学習効果
  • 「おて」をするときに、飼い主が無意識に出している手の側が影響しているのでは

つまり、利き足は遺伝だけでなく 「育ち(環境)」 にも左右されるということ。日々のかかわり方が、思っている以上に犬の身体の使い方に影響しているわけです。


4. 左利き犬・右利き犬の「性格傾向」

さらに踏み込んだ研究では、利き足と性格(情動反応)との関係も調べられています。

イタリア・バーリ大学の研究グループは、犬を「左利き」「右利き」「両利き」に分類し、初対面の人や見知らぬ物体に対する反応を比較しました。

グループ 行動傾向
左利き犬 新しい刺激に対し慎重・警戒的。「ネガティブ感情」を処理する右脳が優位とされる
右利き犬 新しい刺激に対し好奇心が強く、社交的。「ポジティブ感情」を処理する左脳が優位とされる
両利き犬 中間。ただしストレス耐性に個体差が大きい

ただし、これは 「平均的な傾向」 であり、左利きだから臆病、右利きだから社交的、と決めつけるのは早計です。あくまで「そういう傾向が統計的に見られた」という話で、個体差は大きいことを前提にしてください。

▶ 関連記事: 愛犬のあくびに隠れたSOS|カーミングシグナル理論と東大研究が解き明かす『犬語』の正体


5. 自宅でできる「利き足チェック」3つの方法

研究レベルとはいかないまでも、自宅で愛犬の利き足を観察することは十分可能です。次の3つを試してみてください。

方法1:「おて」テスト

「おて」を10回連続でやってもらい、最初に出てくる前足を記録します。同じ側が 7回以上 出れば、その側が利き足の可能性が高いと考えられます。

方法2:おやつ取り出しテスト

中におやつを入れた知育トイを床に置き、犬がそれを押さえる前足を観察します。10〜20回繰り返して偏りを見ます。

知育トイは、犬の前足の使い方を観察するのに最適な道具です。コングのような押さえて転がすタイプ、ノーズワーク用のフードマット、転がしておやつが出るパズルトイなど、種類によって観察できる仕草も変わります。

方法3:階段デビューテスト

階段や段差を昇るとき・降りるときに、どちらの前足から出すかを観察します。同じ場面で繰り返し観察できれば、偏りが見えてきます。

▶ 関連記事: 犬の寝相でわかる気持ちと健康サイン|横向き・うつ伏せ・仰向けの意味を獣医学的に解説


6. 利き足を知ると、愛犬との暮らしはどう変わる?

「利き足を知って、何の役に立つの?」と思う方もいるかもしれません。実は次のような 実用的なメリット があります。

① ストレスサインを見抜きやすくなる

左利き傾向の犬が新しい環境で固まりやすい場合、それは性格の問題ではなく 「右脳優位による警戒反応」 かもしれません。叱るのではなく、慣れる時間を多めにとってあげると、犬も飼い主もラクになります。

② トレーニングの効率が上がる

利き足側からアプローチすると、おすわり・おて・伏せなどの基本動作の習得が早くなるケースがあります。逆に苦手な側を使う練習は、リハビリや脳の活性化にも役立ちます。

③ シニア期の身体ケアに活かせる

人間でも利き手側の関節がすり減りやすいのと同じで、犬も 利き足側の前肢・肩関節に負担が集中 する可能性があります。シニア期に入る前から、関節サポートを意識した食事を選ぶことが大切です。

シニア期の関節サポートには、グルコサミン・コンドロイチン・オメガ3脂肪酸を含むフードが選ばれることが多くなっています。特にイギリス産のグレインフリーフード「モグワン」はサーモン由来のオメガ3を含み、関節ケアを意識する飼い主からの支持があります。

▶ 関連記事: シニア犬のフード選び完全ガイド|タンパク質・関節ケア・腎臓配慮の3軸で考える


7. よくある誤解Q&A

Q1. 子犬のうちから利き足は決まっている? A. 生後数か月の子犬は両利き的に振る舞うことが多く、 だいたい1歳前後で固まる と言われています。それ以前のチェックは、参考程度に。

Q2. 利き足は変えられる? A. 完全に変えるのは難しいですが、苦手な側を意識して使う遊びを取り入れると 「両利き寄り」 にはなり得ます。脳の活性化・リハビリ目的でやる飼い主も増えています。

Q3. 利き足と病気は関係ある? A. 直接病気を予測するものではありませんが、急に利き足を使わなくなった 場合は、爪・肉球・関節・神経のトラブルが隠れている可能性があります。気になる症状があれば、自己判断せず獣医師に相談してください。

Q4. 犬種によって違いはある? A. 大型犬・小型犬で大きな差は確認されていません。ただし作業犬(盲導犬・警察犬)では 「右利きの個体ほど訓練適性が高い」 という研究結果もあり、業界では参考にされ始めています。


まとめ:利き足は、愛犬という「個性」を読むヒント

犬の利き足についてのポイントをおさらいします。

  • 約74%の犬に明確な利き足がある
  • 右利きがやや多いが、人間ほど偏ってはいない
  • 飼い主の利き手・性別・年齢で傾向が変わる
  • 左利き犬はやや慎重、右利き犬はやや社交的(あくまで平均的な傾向)
  • 自宅で簡単にチェックできる方法がある
  • 利き足を知ると、ストレス対応・トレーニング・シニアケアに活かせる

利き足は、性格・身体の使い方・脳の左右差まで含めた 「その子だけの個性」を読み解くヒント です。今日の散歩や遊びの時間に、少しだけ意識して観察してみてください。きっと愛犬の知らなかった一面が見えてきます。

そしてもし、急に利き足を使わなくなった・痛がる素振りがあるといった 明らかな変化に気づいたら、迷わず獣医師に相談 してください。利き足の研究は楽しい雑学である一方、行動の変化は健康のサインでもあります。


出典

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