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豆知識2026/8/8

犬・猫が草を食べる本当の理由|UC Davisの大規模調査でわかった『吐くため説』の意外な真実と安全な与え方

散歩中や室内で犬・猫が草をムシャムシャ食べるのはなぜ?UC Davisの犬約1,500頭・猫約1,000匹の大規模調査が覆した『吐くため説』、本能・寄生虫排出・毛玉ケアの科学、そして農薬や中毒植物から愛犬・愛猫を守る安全な与え方まで徹底解説。

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犬・猫が草を食べる本当の理由|UC Davisの大規模調査でわかった『吐くため説』の意外な真実と安全な与え方

散歩の途中で愛犬がいきなり道端の草をムシャムシャ食べ始めた――あるいは、肉食のはずの愛猫が観葉植物の葉や猫草に夢中になっている。飼い主なら一度は「どうしてわざわざ草なんて?」「体に悪くないの?」と不安になったことがあるのではないでしょうか。

肉や魚を主食とする犬や猫が、栄養価の高くない草を好んで口にする――この一見矛盾した行動には、進化の名残から胃腸のケアまで、いくつもの説が絡み合っています。しかも近年、アメリカ・カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の大規模調査によって、昔から信じられてきた「気持ち悪いから吐くために食べる」という常識が大きく揺らいでいることをご存じでしょうか。

今回は、犬と猫が草を食べる理由を最新の研究とともにやさしく解き明かし、あわせて「食べさせても大丈夫なのか」「危険なサインの見分け方」「安全に草欲求を満たす方法」まで、飼い主目線で網羅的に整理します。

結論:草を食べるのは多くが『正常な行動』。ただし食べる草の"安全性"が最重要

先に結論からお伝えします。

  • 犬・猫が草を食べる行動は、大半が病気ではなく正常な本能的行動と考えられています。
  • 昔からよく言われる「気持ち悪いから吐くために食べる」という説は、UC Davisの大規模調査によって『主な理由ではない』ことが示されました
  • 本当に気をつけるべきなのは「なぜ食べるか」よりも、**どんな草を食べているか(農薬・除草剤・寄生虫・中毒植物のリスク)**です。

つまり、草を食べること自体に神経質になりすぎる必要はありませんが、食べる草の"質"と、食べた後の様子には注意を払いたい、というのが現在の獣医学的な考え方です。それでは、犬と猫それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

犬が草を食べる理由|UC Davisの調査が覆した『吐くため説』

かつての定説は「胃の不快感を解消するため」だった

長らく信じられてきたのが、「犬は胃腸の調子が悪いとき、草を食べて胃を刺激し、わざと吐いて不快感を解消している」という説です。実際、草を食べた後に吐く犬は少なくないため、この説は直感的に納得しやすいものでした。

約1,500頭を調べた大規模調査の結論

ところが、UC Davisの研究チームがおよそ1,500頭もの犬の飼い主を対象に行った大規模なアンケート調査では、意外な結果が出ました。

  • 草を食べる犬のうち、食べる前に体調不良のサインを見せていた犬はごくわずか(約1割未満)
  • 草を食べた後に実際に吐いた犬も、全体の2〜3割程度にとどまった

つまり、「吐くために草を食べている」という犬はむしろ少数派で、多くの犬は体調が悪くもないのに、ごく普通の日常行動として草を食べていたのです。この結果は、従来の常識を大きく見直すきっかけになりました。

では、なぜ犬は草を食べるのか?有力な5つの説

現在考えられている理由を整理すると、次のようになります。

  1. 祖先(オオカミ)からの本能的な名残 — 野生の肉食動物は、獲物の内臓に残った植物や、草そのものを食べる習性があります。草に含まれる繊維が消化管を刺激し、体内の寄生虫や異物を便として押し出す働きがあると考えられており、その行動が本能として今も残っているという説です。
  2. 食物繊維(ファイバー)の補給 — 普段のフードで繊維が不足していると、それを補おうと草を求める場合があります。
  3. 単純に味・食感・香りが好き — 特に新芽の柔らかい草は、犬にとって心地よい食感や青々しい香りがあり、「おいしいから食べる」という嗜好的な理由も大きいとされています。
  4. 退屈・ストレスの発散 — 刺激の少ない環境や運動不足のとき、気を紛らわすために草を口にすることがあります。
  5. 胃の不快感の解消 — 従来説どおり、胃がムカムカするときに食べる犬も一部にはいます。

このうち、UC Davisの調査を踏まえると、多くの犬は①②③のような"正常で自然な理由"で草を食べていると考えられます。散歩中に少し草をかじる程度なら、過度に心配する必要はないでしょう。

▶ 関連記事: 犬の下痢・軟便が続く時の原因と対処法|夏に増える理由とおうちケアの見極め方

猫が草を食べる理由|『毛玉を吐くため』も実は確定していない

肉食動物なのに、なぜ猫草を食べるのか

完全な肉食動物である猫が草を食べる理由は、実は科学的にはっきり解明されていません。よく知られる「毛づくろいで飲み込んだ毛玉を、草を食べて吐き出している」という説も、近年の研究では「主な理由とは言い切れない」とされています。

UC Davisが猫草を食べる約1,000匹の猫について調べたところ、頻繁に嘔吐していた猫は全体の3割にも満たなかったという結果が出ました。つまり、猫もまた「吐くために食べている」わけではないケースが多いのです。

猫が草を食べる、考えられる理由

現在有力とされている説を挙げると――

  • 本能による寄生虫・異物の排出 — 犬と同じく、消化されない草の繊維が腸を刺激し、寄生虫や毛玉などの異物を便として押し出す手助けになるという説。野生時代の名残と考えられています。
  • 葉酸(ビタミンの一種)の補給 — 草の汁に含まれる葉酸を求めているという説。
  • 腸の動きを整える — 適度な繊維が消化管の働きをサポートする可能性。
  • 食感が好き — 猫は食感を重視する動物で、シャキシャキした新芽の感触を楽しんでいるという見方。

いずれも決定打ではありませんが、共通しているのは「猫にとって草を食べるのは、ごく自然な欲求である」ということ。無理にやめさせるより、安全な猫草を用意してあげるほうが理にかなっています。

▶ 関連記事: 猫が毛玉を吐くのはなぜ?原因と正しいヘアボールケア7つの対策

草を食べた後に吐くのは大丈夫?受診を考えたい"危険なサイン"

草を食べて時々吐く程度であれば、多くの場合は心配いりません。ただし、次のような様子が見られるときは、単なる「草を食べたから」では片づけられない可能性があります。気になる症状があれば、自己判断せず獣医師に相談してください。

  • 吐く回数が多い、1日に何度も繰り返す
  • 吐いたものに血が混じる、黒っぽい・コーヒーかす状のものが出る
  • 元気がない・食欲がない状態が続く
  • 下痢を伴う、便に異常がある
  • 草を異常なほど大量に、必死な様子で食べ続ける
  • 急に草を食べる頻度が増えた

特に「急に草を食べたがるようになった」「食べ方が切迫している」といった変化は、胃腸の不調が背景にあることもあります。ふだんの様子と比べて違和感があれば、早めに動物病院で相談すると安心です。

実は一番の問題はこれ|道端の草に潜む4つのリスク

犬や猫が草を食べること自体より、飼い主が本当に注意すべきなのは「どんな草を食べているか」です。特に散歩中の道端の草には、次のようなリスクが潜んでいます。

リスク 内容
除草剤・農薬 公園や道端、田畑周辺の草には除草剤や農薬が付着していることがあり、体に有害な場合があります。
寄生虫・細菌 他の犬・猫・野生動物の排泄物で汚染され、寄生虫の卵や細菌が付着していることがあります。
中毒を起こす植物 犬・猫にとって有毒な植物(ユリ科、チューリップ、アジサイ、スイセンなど)を誤って口にする危険があります。特にユリ科は猫に重篤な影響を及ぼすことが知られています。
鋭い葉・ノギによる口内の傷 硬い草や芒(ノギ)のある草は、口や喉、消化管を傷つけることがあります。

散歩中に愛犬が道端の草を食べようとするのを完全にやめさせるのは難しいものですが、明らかに手入れされていない場所や、農薬散布の可能性がある場所の草は避けるのが基本です。拾い食い全般の対策については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

▶ 関連記事: 犬の拾い食いはなぜ危険?散歩中の誤食を防ぐ8つの対策と緊急時の対処法

散歩中の誤食対策には、口に物を入れさせないための犬用の口輪(ソフトマズル)や、注意をそらすおやつポーチを活用する飼い主さんも増えています。

安全に"草欲求"を満たす方法|市販の猫草・ペットグラスを活用

「草を食べたい」という欲求そのものは自然なものなので、無理に我慢させるよりも、安全な草を室内で用意してあげるのが賢い方法です。

  • 猫草(エン麦・燕麦などのイネ科) — 猫用として定番。種と土がセットになった栽培キットなら、清潔な環境で無農薬の新芽を与えられます。猫草の栽培キットは水やりだけで1週間ほどで育ちます。
  • すぐ使える育成済みタイプ — 育てる手間を省きたいなら、栽培済みの猫草(そのまま置くだけ)も市販されています。
  • 犬にも使えるペットグラス — 猫草は犬に与えても問題ないものが多く、犬用ペットグラスとして販売されているものもあります。

与えるときのポイントは次のとおりです。

  • 新芽(若葉)だけを与える(硬く育ちすぎた葉は消化しにくい)
  • 食べ過ぎに注意する(大量に食べると吐き戻しや消化不良の原因に)
  • はじめは少量から様子を見る
  • 室内栽培で農薬・汚染の心配がないものを選ぶ

こうして安全な草を用意しておけば、散歩中に道端の草を無理に食べようとする頻度を減らす効果も期待できます。

食事面からのサポート|繊維バランスの整ったフードを選ぶ

犬や猫が草を食べる理由のひとつに「食物繊維の補給」がある以上、日々のフードで繊維バランスがきちんと整っているかを見直すことも、遠回りのようで有効なアプローチです。

繊維が適度に含まれ、消化にも配慮されたフードは、胃腸の調子を穏やかに保つサポートになります。たとえば、動物性タンパク質を主原料にしつつ、サツマイモやえんどう豆など食物繊維源をバランスよく配合したフードは、便通や食後の様子が気になる子の食事の見直し先としてよく選ばれています。

もちろんフードだけですべてが解決するわけではありませんが、「最近やたら草を欲しがる」と感じたら、フードの内容を一度見直してみる価値はあります。あわせて、食物繊維入りのペット用サプリを活用する方法もあります。フードの切り替えや持病がある場合は、事前に獣医師へ相談すると安心です。

いつ獣医師に相談すべき?

最後に、動物病院で相談したほうがよい目安をまとめます。

  • 草を食べた後に繰り返し吐く、吐しゃ物に血が混じる
  • 元気・食欲の低下が続く、下痢を伴う
  • 急に草を食べる量や頻度が激増した
  • 有毒植物や除草剤付きの草を口にした可能性がある
  • 口の中を痛がる、よだれが多い(草で口内を傷つけた可能性)

特に有毒植物の誤食が疑われる場合は、様子見をせず、できるだけ早く受診してください。何をどれくらい食べたか分かる範囲でメモしておくと、診察がスムーズになります。

まとめ

  • 犬・猫が草を食べる行動は、その多くが正常で自然な本能行動です。
  • 昔から言われてきた「吐くために食べる」という説は、UC Davisの大規模調査によって『主な理由ではない』ことが示されました。犬も猫も、実際に吐く個体はむしろ少数派です。
  • 本当に注意すべきは「なぜ食べるか」よりも、どんな草を食べているか。除草剤・寄生虫・中毒植物のリスクがある道端の草は避けましょう。
  • 「草を食べたい」という欲求は自然なものなので、安全な猫草・ペットグラスを室内で用意してあげるのが賢い対応です。
  • 繰り返し吐く・元気がない・急に食べる量が増えたなど、いつもと違うサインがあれば、気になる症状は早めに獣医師へ相談してください。

愛犬・愛猫が草を食べる姿は、ちょっと不思議で微笑ましいもの。その行動の背景を知っておけば、「大丈夫なケース」と「注意したいケース」を落ち着いて見分けられるようになります。安全な環境を整えて、愛するペットの自然な行動を穏やかに見守ってあげましょう。


出典・参考

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。ペットの体調に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

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