犬・猫のノミ・マダニ対策2026完全ガイド|夏の予防・SFTSリスク・注射薬という新常識まで
梅雨明け以降、ノミ・マダニの相談が一気に増えます。活動が活発になる夏の予防時期、命に関わるSFTSやバベシア症のリスク、2026年に登場した注射タイプの新しい予防法、そして帰宅後のチェックと室内清掃まで。犬と猫を寄生虫から守るために飼い主が今日からできることを、獣医療の考え方に沿ってまとめました。

「散歩から帰ったら、首すじに黒い豆粒のようなものがくっついていた」「毛をかき分けたら、ゴマみたいな黒い粒がパラパラ落ちてきた」——梅雨が明けて草むらの緑が濃くなるこの時期、こうしたノミ・マダニの相談がペット保険のホットラインや動物病院に一気に増えてきます。
ノミやマダニは「かゆいだけ」の問題ではありません。とくにマダニは、犬や猫、そして人の命にも関わる**SFTS(重症熱性血小板減少症候群)**をはじめとする複数の感染症を運びます。近年はこのSFTSがニュースでもたびたび取り上げられ、行政からの注意喚起も続いています。一方で予防の選択肢は年々広がっており、2026年には従来のスポットタイプ(垂らす薬)や飲み薬に加えて、注射で予防が完結する新しい方法も登場しました。
この記事では、夏に予防が欠かせない理由、ノミ・マダニが引き起こす具体的なトラブル、2026年時点での予防法の選び方、帰宅後のチェックと室内清掃のコツ、そして「これは受診したほうがいい」という目安までを、飼い主さんが今日から実践できる形でまとめました。気になる症状や不安があるときは、記事の最後にも添えているとおり、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
まずは結論——夏は「通年予防+帰宅後チェック+室内清掃」の3点セット
詳しい解説の前に、要点を先にお伝えします。
- 予防薬は季節を通して続けるのが基本。 ノミはおおよそ18℃、マダニは15℃前後で活発に動き出すとされ、夏はもっとも活動が盛んな時期です。暖かい室内では冬でも活動できるため、近年は通年予防をすすめる動物病院が増えています。
- 薬だけに頼らず「物理的に減らす」工夫を組み合わせる。 散歩後のブラッシングとチェック、こまめな掃除機がけと洗濯・天日干しで、寄生と室内での繁殖を大きく抑えられます。
- マダニは見つけても自分で引き抜かない。 無理に取ると口の一部が皮膚に残ったり、体液を逆流させて感染リスクを高めることがあります。動物病院で処置してもらうのが安全です。
- 予防法は薬のタイプで選べる時代。 スポット・飲み薬・首輪、そして2026年からの注射タイプまで、生活スタイルや投薬のしやすさに合わせて選択できます。
ここからは、それぞれを具体的に見ていきましょう。
なぜ夏に予防が欠かせないのか
気温と湿度が寄生虫の「活動スイッチ」を入れる
ノミは気温がおよそ13〜18℃を超えると活発になり、20〜30℃前後でもっとも繁殖しやすくなります。マダニも15℃前後から動き出し、草むらや公園の茂み、河川敷など、犬の散歩コースそのものが生息場所です。つまり梅雨明けから初秋にかけての日本の夏は、ノミ・マダニにとって絶好のシーズンなのです。
滋賀県内のある動物病院では、予防期間の目安を3月下旬〜11月下旬と案内しています。地域や気候によって前後しますが、「暖かい季節はまるごと予防シーズン」と考えておくと安心です。
一度室内に持ち込むと繁殖してしまう
ノミの厄介なところは、成虫が犬や猫に寄生して吸血するだけでなく、卵や幼虫が家の中に落ちて繁殖する点です。卵や幼虫はカーペットや畳、ソファや布団の隅などに潜みます。ペットの体で見えているノミは全体のごく一部で、大半は環境中に潜んでいるとも言われます。だからこそ、体の駆除と室内の掃除は必ずセットで行う必要があります。
ノミ・マダニが引き起こす具体的なトラブル
「かゆがっているだけ」と軽く見てしまいがちですが、ノミ・マダニは次のような健康トラブルの入り口になります。
ノミによるトラブル
- ノミアレルギー性皮膚炎: ノミの唾液に対するアレルギーで、少数のノミでも強いかゆみや脱毛、皮膚炎を起こします。
- 貧血: 大量寄生では、とくに子犬・子猫や小型の子で吸血による貧血が問題になることがあります。
- 瓜実条虫(サナダムシの一種): ノミを毛づくろいで飲み込むことで、おなかの中に寄生虫が入り込むことがあります。
マダニによるトラブル
- SFTS(重症熱性血小板減少症候群): マダニが媒介するウイルス感染症。犬や猫も感染して重症化することがあり、報告されている致死率は犬で25%前後、猫で60%前後とされます。人にも感染し得る、非常に注意が必要な病気です。
- バベシア症: 赤血球が壊されて貧血や発熱を起こす、犬で問題になりやすい感染症です。
- ライム病・Q熱・エールリヒア症など: いずれもマダニが運ぶ感染症として知られています。
SFTSは「人にもうつり得る」から重要
SFTSがとくに注目されるのは、ペットだけの問題にとどまらないからです。最近の研究では、マダニに直接噛まれていなくても、感染した犬や猫の体液(唾液・血液など)に触れることでウイルスが人にうつる可能性があるとわかってきました。厚生労働省や各自治体も情報提供を行っています。
そのため、犬や猫の体調が悪そうなときは、素手でべたべた触れず、ケアの際は使い捨て手袋を使う、顔を近づけすぎたり一緒に寝たりを控える、といった基本を知っておくと安心です。過度に怖がる必要はありませんが、「マダニ予防は家族全員の健康を守ること」という意識を持っておきたいところです。
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2026年版・予防法の選び方
予防の主役はやはり動物病院で処方される予防薬です。2026年時点では、大きく分けて次のタイプがあります。それぞれに向き・不向きがあるので、生活スタイルに合わせて獣医師と相談して選びましょう。
| タイプ | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| スポット(垂らす) | 首の後ろの皮膚に垂らす。1か月持続タイプが主流 | 投薬が苦手/薬を飲ませにくい子 |
| 飲み薬(おやつタイプ) | おやつ感覚で食べられる。1か月・3か月持続など | シャンプー頻度が高い/皮膚に薬をつけたくない |
| 首輪(カラー) | 装着で数か月効果が続くタイプもある | 長期間まとめて予防したい |
| 注射(2026年〜) | 動物病院での注射で予防が完結する新しい方法 | 投薬忘れを防ぎたい/通院で管理したい |
とくに2026年は、注射で予防が完結する新しい選択肢が加わり、「毎月の投薬をつい忘れてしまう」という悩みに応えられるようになりました。適応となる月齢・体重や対象となる寄生虫、他の予防(フィラリアなど)との組み合わせは製品ごとに異なるため、必ずかかりつけの獣医師に確認してください。
なお、ドラッグストアや通販で市販されている「ノミ取り首輪」や忌避グッズは、動物用医薬品として承認された予防薬とは効果の性質が異なります。散歩前のペット用の天然由来の虫よけなどは“補助”として使えますが、感染症予防の主軸はあくまで獣医師が処方する予防薬、と位置づけておくのが安全です。
薬にプラスしたい「物理的に減らす」習慣
予防薬を使っていても、散歩に出る以上、体に付着する機会をゼロにはできません。次の習慣を組み合わせると、寄生と室内での繁殖をぐっと減らせます。
散歩後のブラッシングとチェック
外から帰ったら、玄関先などで軽くブラッシングして、体に付いたノミやマダニを落とし、寄生がないか確認する習慣をつけましょう。とくに耳のまわり、首すじ、足の付け根、おなか、しっぽの根元は、マダニがつきやすく見落としやすい場所です。目の細かいノミ取りコームを使うと、被毛の中に隠れたノミや“ノミの糞”(黒い小さな粒)を見つけやすくなります。
短毛でも長毛でも、ペット用のブラッシングブラシで日常的に毛をかき分ける習慣があると、皮膚の異変にも早く気づけます。
室内清掃で「繁殖の場」をつくらない
前述のとおり、ノミの卵や幼虫は室内の隅に潜みます。こまめに掃除機をかける、ペットの寝具やクッションを定期的に洗濯・天日干しする、といった基本が繁殖の抑制につながります。カーペットや畳が多いお宅では、ダニ・ノミ対策用のシートやスプレーを補助的に使うのもよいでしょう。使用する際は、ペットがなめても大丈夫な成分か、対象動物(犬・猫)に適合しているかを必ず確認してください。
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草むら・茂みを避けるコース取り
マダニは背の高い草や茂みの葉先で、動物が通るのを待っています。夏場の散歩は、できるだけ舗装された道や見通しのよいコースを選び、草むらに深く入り込ませないだけでも接触機会を減らせます。これは夏のアスファルト対策や熱中症対策とも両立しやすい工夫です。
もしマダニを見つけたら——「引き抜かない」が鉄則
体にマダニが食いついているのを見つけると、つい指やピンセットで引き抜きたくなりますが、これは避けてください。無理に引っぱると、マダニの口の一部が皮膚の中に残ってしまったり、つぶすことで体液が逆流し、感染のリスクを高めたりすることがあります。
正しい対応は、できるだけ触らずに動物病院を受診し、専用の器具で安全に除去してもらうことです。除去後も、噛まれた部位の炎症や、その後の体調変化(発熱・元気消失・食欲不振など)に注意し、気になれば早めに相談しましょう。
体の内側からのコンディション作りも味方に
予防薬と環境対策が土台であることは大前提ですが、皮膚や被毛の健康、そして体全体のコンディションを整えておくことも、日々のケアを支える大切な要素です。良質なたんぱく質や必要な栄養バランスのとれた食事は、皮膚バリアや毛づやを保つうえで役立つと考えられています。
毎日の食事を見直したい場合は、動物性たんぱく質を主体にしたフードのひとつとしてモグワンドッグフードのような選択肢もあります。フードはあくまで健康維持の土台づくりであり、寄生虫そのものを防ぐものではない点は誤解のないようにしてください。食事の切り替えを検討するときは、体質やアレルギーの有無を含めて獣医師に相談すると安心です。
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治療費と「もしも」への備え
SFTSやバベシア症のような感染症は、治療が長引いたり入院が必要になったりすることがあり、医療費の負担が大きくなるケースもあります。予防を徹底することが最善ですが、「もしものときにためらわず受診できる備え」として、ペット保険の加入を検討しておくのもひとつの考え方です。補償内容や加入のタイミングについては、上でご紹介した関連記事もあわせて参考にしてください。
こんなときは早めに動物病院へ
次のような様子が見られたら、自己判断で様子を見すぎず、早めに受診しましょう。
- 皮膚を強くかゆがる、赤み・脱毛・かさぶたが広がっている
- 体に豆粒〜黒っぽい塊(マダニ)が食いついている
- 発熱、元気がない、食欲が落ちる、嘔吐や下痢が続く
- 歯ぐきや舌が白っぽい(貧血のサイン)
- マダニに噛まれたあとに、いつもと違う様子が出てきた
とくにマダニに噛まれたあとの発熱や元気消失は、感染症のサインである可能性もあります。「気になる症状があれば、早めにかかりつけの獣医師に相談する」——これが、愛犬・愛猫と家族の健康を守るいちばん確実な方法です。
まとめ
ノミ・マダニ対策は、「かゆみ対策」ではなく「命と健康を守る対策」です。ポイントを振り返りましょう。
- 夏はノミ・マダニがもっとも活発な季節。予防薬は暖かい季節を通して(近年は通年で)続けるのが基本
- マダニはSFTS・バベシア症など重い感染症を運び、SFTSは人にもうつり得るため、家族全員の健康問題として捉える
- 2026年はスポット・飲み薬・首輪に加え、注射で予防が完結する新しい選択肢も。生活に合う方法を獣医師と選ぶ
- 薬に加えて、散歩後のチェックとブラッシング、こまめな室内清掃で「付けない・増やさない」を徹底する
- マダニを見つけても自分で引き抜かず、動物病院へ。噛まれたあとの体調変化にも注意
正しい予防と日々のちょっとした習慣で、寄生虫のリスクは大きく下げられます。この夏も、愛犬・愛猫と安心してお散歩を楽しめますように。気になる症状や予防法の選択については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
出典・参考
- マエカワ動物病院/滋賀動物がんクリニック「犬と猫のノミ・ダニ対策について」 https://maekawaah.com/flea-tick/
- 北川犬猫病院「【獣医師解説】ここが変わる!フィラリア、ノミ・マダニ予防2026」 https://kita-vet.com/2814-2
- 池田動物病院「【2026最新 犬・猫のSFTS】症状・感染経路・予防」 https://ikedaanihos.com/dog-cat-sfts/
- 神奈川県「ペットの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/sfts.html
- 厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html
- アニコム損保 みんなのどうぶつ病気大百科「ノミ・マダニ予防について<犬>」 https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1266
※本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的とするものではありません。予防薬の選択や体調の異変については、必ず獣医師にご相談ください。


