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豆知識2026/9/3

犬・猫の耳はどこまで聞こえる?人間には聞こえない『超音波の世界』と犬笛の科学

犬は約45kHz、猫はなんと約64kHzまで——人間の3倍以上も高い『超音波』を聞き分ける犬と猫。犬笛が人には聞こえないのに犬に届く理由、猫がネズミの足音を察知できるしくみを、最新の科学でやさしく解説します。愛犬・愛猫の耳を守る暮らしのヒントも。

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犬・猫の耳はどこまで聞こえる?人間には聞こえない『超音波の世界』と犬笛の科学

「留守番中の愛犬が、家族が玄関に着くよりずっと早くソワソワし始める」「猫がなにもない壁のほうをじっと見て、耳をピンと動かす」——そんな不思議な瞬間を見たことはありませんか。

じつはこれ、犬や猫が私たち人間にはまったく聞こえない『超音波』の世界を生きているからかもしれません。彼らの耳は、人間の耳がとらえられない高い音を、当たり前のようにキャッチしているのです。

今日は「犬・猫の耳はいったいどこまで聞こえるのか」というテーマで、聴覚の驚くべきしくみと、犬笛のふしぎ、そして愛犬・愛猫の耳を守るための暮らしのヒントまで、最新の研究をもとにやさしくご紹介します。

結論:犬は約45kHz、猫は約64kHzまで聞こえる

先に答えをお伝えします。

一般に、**人間が聞き取れる音の上限は約20kHz(キロヘルツ)**とされています。年齢を重ねるとこの上限はさらに下がり、大人では15kHz前後までしか聞こえない人も少なくありません。

これに対して、

  • :おおよそ 65Hz 〜 45kHz
  • :おおよそ 55Hz 〜 64kHz(研究によっては79kHz以上という報告も)

と言われています。つまり犬は人間の約2倍以上、猫にいたっては人間の3倍以上も高い音まで聞き取れる計算になります。

しかも猫は、哺乳類のなかでもトップクラスに広い「可聴域(聞こえる音の範囲)」を持つ動物のひとつ。低い音から超高音まで、じつに幅広い音をカバーしているのです。

この「人間には聞こえないほど高い音」のことを、一般に超音波と呼びます。犬と猫は、私たちが存在にすら気づかない音のなかで暮らしている、というわけですね。

なぜそんなに高い音が聞こえるの?——カギは「獲物の声」

では、どうして犬や猫はこれほど高い音を聞き取れるように進化したのでしょうか。

有力とされているのが、**「小さな獲物(えもの)の音を聞くため」**という説です。

犬や猫の祖先にとって、ネズミなどの小動物は大切な食料でした。そして、ネズミが仲間とやりとりするときの鳴き声や、草むらをちょこちょこ歩き回るときのカサカサという足音には、**人間には聞こえない高い周波数(超音波域)**が多く含まれています。

つまり、高い音を聞き分けられる個体ほど、暗闇や茂みのなかでも獲物の居場所を正確に察知できた——その能力が世代を超えて受け継がれ、今の犬や猫の「超高性能な耳」につながったと考えられています。

猫が、なにもないように見える壁や天井をじっと見つめて耳を動かすことがあるのは、私たちには聞こえない壁の中の小さな物音(ネズミや虫など)を、しっかりキャッチしているのかもしれません。

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「犬笛」が人には聞こえず、犬に届くのはなぜ?

犬のしつけグッズに、**犬笛(ドッグホイッスル)**というものがあります。吹いても人間の耳にはほとんど何も聞こえないのに、犬はピクッと反応して振り向く——あの不思議な道具です。

タネを明かせば、犬笛は23,000〜54,000Hz(=23〜54kHz)前後の、とても高い音を出すように作られています。

この音域は、人間の可聴域(約20kHzまで)をこえているため私たちには聞こえませんが、45kHz近くまで聞き取れる犬にはしっかり届く、というわけです。まさに「犬にだけ聞こえる笛」なのですね。

遠くまで届きやすく、周囲の人の迷惑になりにくいことから、呼び戻し(おいで)の合図などに使う飼い主さんもいます。気になる方は、犬笛(ドッグホイッスル)を探してみると、いろいろな種類が見つかります。

ただし、正しい使い方を知らずに乱用すると、犬が音の意味を理解できず混乱したり、大きな音でストレスを与えてしまうこともあります。使うなら、少しずつ「笛の音=良いことが起こる」と結びつけて、あせらず慣らしていくのがおすすめです。

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耳を自在に動かせるのも、聞こえのヒミツ

犬や猫は、高い音が聞こえるだけでなく、**「音のする方向を正確に突き止める力」**にも優れています。

その秘密が、耳を自由に動かせる筋肉です。人間の耳はほとんど動きませんが、犬や猫の耳には多くの筋肉がついていて、パラボラアンテナのように片方ずつ別々の方向へ向けることができます。

これによって、音がどこから来ているのかを立体的にとらえ、わずかな物音の発生源をピンポイントで探し当てられるのです。愛猫が耳だけをクルッと後ろに向けたり、愛犬が片耳を持ち上げて首をかしげたりするのは、まさに「音を精密に聞き取っている」サインなのですね。

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こうした「鋭い感覚」は、聴覚だけの話ではありません。犬の嗅覚や猫のひげなど、人間をはるかにこえる感覚器をあわせ持っているのが、彼らのすごいところです。

じつは生まれたては「耳が聞こえない」

もうひとつ、意外と知られていない豆知識をご紹介します。

これほど耳のいい犬や猫ですが、生まれたばかりの赤ちゃんは、じつは耳が聞こえません。子犬・子猫は生後まもない時期、耳の穴(外耳道)がまだ閉じた状態で生まれてくるのです。

耳の穴が開いて音が聞こえ始めるのは、犬でおおよそ生後2〜3週間ごろ、猫もほぼ同じくらいの時期と言われています。目が開くのも同じころで、それまでの赤ちゃんは、においと母親のぬくもり、そしてお母さんの体の振動を頼りに生きています。

やがて耳が開くと、そこから一気に「音の世界」が広がり、兄弟げんかやお母さんの呼び声を通じて、社会性や身の守り方を学んでいきます。子犬・子猫を迎えたばかりの時期に、大きな音を立てないよう気づかってあげたいのは、こうした理由もあるのですね。

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犬と猫、聞こえ方はどう違う?

「犬と猫、どっちが耳がいいの?」という疑問もよく聞かれます。

高い音を聞き取る力(可聴域の上限)でくらべると、猫(約64kHz)のほうが犬(約45kHz)より高音に強いと言えます。猫はもともと単独で狩りをするハンターなので、小さな獲物のかすかな超音波を聞き分ける必要があったためだと考えられています。

一方で犬は、音の「方向」や「わずかな変化」を聞き分けたり、飼い主さんの声のトーンから気持ちを読み取ったりすることに長けているとされます。犬笛のような合図に反応してくれるのも、こうした聞き分け上手な一面があるからこそ。

どちらが優れているというより、それぞれの暮らし方に合わせて発達した「別々の得意分野」を持っている、と考えるのがよさそうです。愛犬・愛猫が音に反応する様子を観察してみると、その子ならではの「聞こえの個性」が見えてくるかもしれません。おうち遊びのなかで、ペット用の音が鳴るおもちゃへの反応を見てみるのも楽しいですよ。

「耳がいい」からこそ気をつけたい、身近な音のストレス

ここで飼い主さんに知っておいてほしいのが、**「耳がいいということは、それだけ音に敏感でもある」**という点です。

私たちが気にも留めないような音が、犬や猫にとっては大きなストレスになっていることがあります。たとえば——

  • 掃除機やドライヤーの高い動作音
  • テレビやスマホから出る、人には聞こえない高周波の電子音
  • 花火・雷・工事などの突然の大きな音
  • インターホンやアラームの甲高い電子音

とくに超音波域まで聞こえる犬や猫にとっては、家電が出す「私たちには聞こえない高音」も刺激になり得ます。愛犬・愛猫が特定の家電を極端にこわがる、特定の部屋に入りたがらない、といった様子があれば、音が原因のひとつかもしれません。

対策としては、

  • こわがる音が出る家電を使うときは、別の静かな部屋に移してあげる
  • 逃げ込める「隠れ家」(ペット用ハウスや布をかけたケージなど)を用意しておく
  • 花火や雷の日は、カーテンを閉めて生活音(テレビ・音楽)で外の音をやわらげる
  • どうしても不安が強い場合は、ペット用の音対策・リラックスグッズを取り入れる

といった工夫が役立つ場合があります。

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耳の健康チェックも忘れずに

せっかくの優れた聴覚も、耳の中にトラブルがあると十分に発揮できません。とくに垂れ耳の犬種や、湿気の多い季節は、耳の中が蒸れて炎症やにおいの原因になりやすいと言われています。

日ごろから、

  • 耳の中が赤くなっていないか、いやなにおいがしないか
  • しきりに頭をふる、後ろ足で耳をかく仕草が増えていないか
  • 呼んでも反応が鈍い(=聞こえにくくなっている?)ことがないか

をやさしくチェックしてあげましょう。ケアには、犬猫用のイヤークリーナー(耳掃除グッズ)を使うと便利です。ただし綿棒で耳の奥を強くこするのは逆効果になることがあるので、表面をやさしく拭く程度にとどめ、汚れや異常がひどいときは自己判断せず動物病院に相談してください。

なお、シニア期に入ると人間と同じように少しずつ耳が遠くなることもあります。呼びかけへの反応が変わってきたと感じたら、叱るのではなく、手のジェスチャーや振動で合図を伝えるなど、愛犬・愛猫に合わせた接し方を工夫してあげたいですね。

まとめ:犬と猫は「音の達人」

最後に、今日のポイントをおさらいします。

  • 人間の可聴域は約20kHzまでだが、犬は約45kHz、猫は約64kHzまで聞こえる
  • この高い聴力は、小さな獲物の声や足音を聞き取るために進化したと考えられている
  • 犬笛は人に聞こえない高音(超音波域)を出すため、犬にだけ届く
  • 犬や猫は耳を自在に動かし、音の方向も正確にとらえられる
  • 「耳がいい」からこそ、家電や生活音がストレスになることもある。隠れ家づくりや音対策を
  • 耳の健康チェックとやさしいケアで、すぐれた聴覚を守ってあげよう

私たちには聞こえない音の世界で、犬や猫は今日もたくさんの情報を受け取っています。愛犬・愛猫が「なにもないところ」をじっと見つめて耳を動かしていたら、それは彼らにしか聞こえない音に、そっと耳をすませているのかもしれませんね。

気になる症状(耳をしきりにかく、呼びかけへの反応が急に鈍くなった等)があるときは、早めに獣医師に相談しましょう。


出典・参考

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