【2026年版】梅雨に犬・猫の皮膚と耳トラブルが急増する理由|湿度60%以下を守る7つの梅雨ケア
5月末〜6月の梅雨入り直前は、犬猫の皮膚炎・外耳炎・食欲不振が一気に増える季節。湿度60%以下をキープする室内環境のつくり方、垂れ耳種の耳ケア、雨の日の散歩対策、梅雨に注意したい食事のポイントを獣医療の視点から解説します。

【2026年版】梅雨に犬・猫の皮膚と耳トラブルが急増する理由|湿度60%以下を守る7つの梅雨ケア
5月末を迎え、関東〜九州の梅雨入りが目前に迫ってきました。気象庁の平年値では、九州南部は5月30日ごろ、関東甲信は6月7日ごろが梅雨入りの目安とされています。例年この時期になると、動物病院では皮膚のかゆみ・耳の赤み・食欲不振を主訴に来院するペットが一気に増えると報告されています。
梅雨に起こりやすい不調の多くは、**「湿度の高さ」と「気圧・気温の不安定さ」**という、たった2つの環境要因で説明できます。逆に言えば、その2つを室内でコントロールできれば、ペットが梅雨を過ごしやすくする土台はかなり整います。
この記事では、梅雨に犬猫を襲いやすい5つの代表的なトラブルと、その背景にある生理学的なメカニズム、そして今日から家で実践できる7つの梅雨ケアを整理しました。記事末には「これは獣医師に相談したほうがよい」と判断するラインもまとめています。
梅雨に犬猫の不調が増える「2つの環境要因」
1. 湿度70%超の蒸し暑さは、犬猫にとって人間以上にしんどい
人間と違って、犬や猫は全身で汗をかいて体温を下げることができません。犬は主にパンティング(口呼吸)、猫は肉球のわずかな汗腺と毛づくろいで体温調節をしますが、いずれも空気が湿っているほど効率が落ちます。湿度が70%を超えると、汗(水分)が空気中に蒸発しにくくなり、気化熱で体温を下げるしくみ自体が機能しづらくなるのです。
獣医療の現場で「犬の適温は20〜25℃/適湿度は40〜60%、猫の適湿度は50〜60%」と紹介されることが多いのは、こうした体温調節の生理に基づいています。湿度60%を超えると、不調を訴えるペットが目に見えて増え始める、というのが動物病院でよく聞かれる肌感覚です。
2. 湿気はカビ・ダニ・細菌を爆発的に増やす
湿度が60%を超えた室内では、カビの胞子が急速に増え、ダニも繁殖期に入ります。これらは犬猫の皮膚にとって「いつものアレルゲン」が一気に高濃度になるイメージです。普段は耐えられているかゆみが、梅雨だけ我慢の限界を超えてしまう——そんなパターンが多いのが、5月末〜7月の通院理由でよく見られる傾向です。
特にマラセチアという真菌(カビの一種)は、皮膚や耳道に常在しているのですが、湿度と皮脂が多い環境で異常増殖しやすく、外耳炎や指間炎の原因になります。
梅雨に増える5つの代表的なトラブル
① 皮膚炎(マラセチア・膿皮症)
蒸れやすい首回り・脇・内股・指の間が赤く、ベタつき、独特の脂っぽい臭いがしてきたら、マラセチア皮膚炎の可能性があります。膿皮症(細菌性皮膚炎)になると、ニキビのような小さな膿疱や、円形に毛が抜ける部分が出てくることもあります。
短毛種より長毛種、ダブルコート(柴犬・コーギー・ゴールデンなど)、シーズーやマルチーズのような皮脂量の多い犬種で起きやすい傾向です。猫では肥満気味の子が、自分でうまく毛づくろいできずに背中や腰回りに皮膚炎を起こすケースが目立ちます。
② 外耳炎(特に垂れ耳種は要注意)
シー・ズー、コッカー・スパニエル、ゴールデン・レトリーバー、キャバリア、ダックスフンドなど、耳が垂れている犬種は耳道内が常に蒸れた状態。湿度が上がる梅雨は、耳の中の温度・湿度がいよいよ高まり、マラセチアや細菌が爆発的に増えます。
「耳をしきりにかく」「頭を振る」「耳の中から甘酸っぱい臭いがする」「黒〜茶色の耳垢が増えた」といった変化は、外耳炎の典型的なサインです。猫でも、スコティッシュフォールドのように耳の折れた猫種では同様に起こりやすいので注意が必要です。
③ ダニ・ノミ・蚊の感染症リスク上昇
梅雨は気温と湿度が同時に上がる「害虫の最盛期」。マダニやノミ、蚊が一気に活発になり、それに伴ってフィラリア症やバベシア症、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)といった感染症のリスクも高まります。
ノミ・ダニ予防薬、フィラリア予防は、すでに4〜5月に開始している家庭が多いと思いますが、**「梅雨入り後も継続できているか」**をこのタイミングで一度確認しておくと安心です。
④ 食欲不振・夏バテの前兆
気圧の変化と蒸し暑さで、ペットも自律神経が乱れやすくなります。「いつもより食べる量が少ない」「水を飲む量が減った/極端に増えた」「寝ている時間が長い」などのサインが出ることがあります。
軽い食欲のムラは様子見でよいことも多いですが、24時間以上ほとんど食べない・水を飲まない・元気がないが続く場合は、別の病気(消化器疾患・腎臓・膀胱炎など)が隠れている可能性もあるため、早めの受診が安心です。食欲不振の判断基準は犬がご飯を食べない時の原因と対処法でも詳しく扱っています。
⑤ 猫の泌尿器トラブル(トイレ我慢)
猫はきれい好きで、トイレが湿気や臭いで汚れていると排泄を我慢する傾向があります。梅雨時は砂が湿りやすく、臭いもこもりやすいため、結果として膀胱炎・尿石症・特発性膀胱炎の発症が増えやすいシーズンです。
「トイレに何度も入るのに少ししか出ない」「トイレ以外で粗相する」「トイレで鳴く」といった変化が見られたら、泌尿器のトラブルを疑って早めの受診を検討してください。
室内環境を整える「梅雨ケア7つのポイント」
ここからは、家庭で今日から始められるケアを7つに整理してご紹介します。
ケア①:湿度計を置いて「50〜60%」を物理的に把握する
「なんとなく蒸し暑い」ではなく、数字で湿度を見える化することが何より大切です。ペットがよく過ごす床近く(高さ50cm前後)に湿度計を置き、目標を「湿度50〜60%/室温24〜26℃」に設定しましょう。
人間の顔の高さで快適でも、床に近いペットの位置では湿度が10%以上高いケースは珍しくありません。
ケア②:エアコンの「ドライ運転」より「冷房+除湿機」が効率的
エアコンのドライ(除湿)運転は、機種によっては室温を下げすぎてしまうことがあります。梅雨の蒸し暑さに対しては、**冷房26℃+除湿機**で湿度だけを下げるほうが、ペットも飼い主も快適です。
サーキュレーターを併用して空気を循環させると、エアコンの効率も上がります。
ケア③:垂れ耳種は週1〜2回の「耳の見回り」を習慣に
耳の中をのぞいて、ピンク色=健康/赤・茶色の耳垢=要注意/甘酸っぱい臭い=外耳炎の可能性、と覚えておきましょう。
家庭での耳ケアは、獣医師から推奨されたイヤークリーナーを耳の入口に少量つけてマッサージし、コットンで拭き取るだけにとどめます。綿棒を耳の奥まで入れるのは、耳垢を奥に押し込んだり鼓膜を傷つける原因になるためおすすめできません。少しでも症状があるときは無理に家庭ケアで対処せず、早めに動物病院へ相談を。
ケア④:散歩後の「足拭き+耳元タオルドライ」を徹底する
雨の中の散歩から帰ったあとは、肉球と指の間、お腹、脇、内股、耳の周りまでペット用速乾タオルでしっかり水分をふき取ります。
濡れたまま放置すると、指間炎や皮膚炎、耳の中の蒸れにつながります。タオルだけで足りないときは、ぬるめのシャワーで軽く洗い流して、その後ドライヤーで完全に乾かすところまでをセットに。
ケア⑤:ブラッシングで「換毛期+湿気」のダブル負荷を軽くする
5月から6月は春の換毛期の終盤と梅雨が重なります。古い被毛が抜けきらずに残っていると、湿気を含んで皮膚に貼り付き、蒸れの原因になります。
長毛種は1日1回、短毛種でも2〜3日に1回はブラッシングを。ブラシ選びや皮膚サインの読み方は犬・猫の春の換毛期を乗り切るケアガイドで詳しく解説しているので、合わせて読んでみてください。
ケア⑥:猫のトイレは「1日2回点検/週1回まる洗い」
梅雨時の猫トイレは、湿気で固まりにくくなったり、臭いがこもりやすくなったりします。1日2回はサッと点検&汚物を取り除く/週1回はトイレ容器ごと丸洗いを目安に。
消臭力の高い猫砂に切り替えるだけでもトイレ環境がぐっと改善します。多頭飼育の場合は、トイレ数を「猫の頭数+1個」を目安にしておくと、我慢のリスクが下がります。
ケア⑦:雨の日のストレス発散を「室内遊び」で補う
雨で散歩に出られない日が続くと、運動不足から落ち着きがなくなったり、夜鳴きやイタズラが増えたりすることがあります。猫の場合は室内飼い猫のストレスサインと解消法で詳しく扱っていますが、犬でも考え方は同じです。
家のなかで使える知育玩具、ノーズワークマット、引っ張り合いっこなど、5〜10分の遊びを1日数回入れてあげるだけで、メンタル面のケアにつながります。
梅雨の食事サポート|消化と皮膚のためにできること
蒸し暑い季節は、ペットの胃腸も少し弱りがちです。「梅雨だからこそ気をつけたい食事」のポイントを3つにまとめます。
ポイント①:いつもの量を「数回に分けて」与える
1日2回をきっちりあげていた家庭でも、梅雨時期だけ1日3〜4回に分けると、消化負担が減って食欲が戻りやすくなります。
ポイント②:高品質なたんぱく質で皮膚と被毛のターンオーバーを支える
皮膚の細胞は約3〜4週間で生まれ変わると言われており、その材料の中心となるのが良質なたんぱく質です。穀物を控えめにし、動物性たんぱく質を中心としたフードに切り替えることで、皮膚バリアの修復をサポートできます。
例えば、消化吸収のよいチキンとサーモンを中心にしたグレインフリーフードモグワンドッグフードは、皮膚と被毛のケアに着目したい飼い主さんによく選ばれているフードのひとつです。
涙やけや皮膚の赤みが気になる小型犬には、低温加熱で素材の栄養を残した国産フードミシュワンもケアの選択肢に入ります。フード切り替えのコツはドッグフードの切り替え方完全ガイドにまとめています。
ポイント③:水を「飲みやすく」する工夫
湿度が高いと、なぜか水を飲まなくなるペットがいます。新鮮な水をこまめに変える、ペット用自動給水器で流れる水を用意するなど、飲水量を増やす工夫を取り入れてみてください。
猫の場合は、ウェットフードを併用するだけで、1日あたりの水分摂取量が大きく増えることが知られています。
こんなときは早めに動物病院へ
梅雨期は家庭ケアでよくなるトラブルも多い一方、「我慢して様子を見ているうちに悪化させてしまう」ケースも少なくありません。次のようなサインが見られた場合は、早めに動物病院へ相談してください。
- 皮膚を血が出るほどかき続けている
- 耳の中から強い臭いがする/頻繁に頭を振る
- 24時間以上、ほとんど食事や水を口にしない
- 元気がなく、いつも寝ている場所からあまり動かない
- 嘔吐や下痢を1日に何度も繰り返している
- 排尿の回数が極端に多い/少ない、トイレで鳴く
- 呼吸が荒い、舌の色が紫っぽい
「これくらいなら大丈夫」と判断しにくいときは、かかりつけの動物病院に電話で症状を伝え、受診の必要性を相談するのが一番安全です。
まとめ|湿度コントロールがすべての出発点
梅雨に犬猫を襲うトラブルの多くは、根本をたどると**「湿度の高さ」と「カビ・ダニ・細菌の異常繁殖」**に行き着きます。逆に、
- 湿度50〜60%を物理的に保つ
- 散歩後の足拭きとタオルドライを徹底する
- 垂れ耳種は耳のチェックを習慣にする
- 食事は消化負担を減らし、皮膚をサポートする栄養を意識する
- 室内遊びで運動・ストレスケアを補う
の5つを押さえれば、梅雨が終わって本格的な夏に入るころには、ペットも飼い主もずいぶん楽になっているはずです。梅雨が明けたあとは熱中症が大きなテーマになりますから、2026年最新の犬猫の熱中症対策グッズガイドも今のうちにチェックして、夏のスタートダッシュに備えておきましょう。
毎日のちょっとした観察と、ほんの少しの環境調整が、愛犬・愛猫の梅雨期の体調を大きく左右します。気になる症状があれば自己判断にせず、かかりつけの獣医師に早めに相談する——これだけは忘れずに、しっとりした季節を一緒に乗り切っていきましょう。
出典・参考
- アース・ペット株式会社「梅雨時のペットの体調管理」 https://www.earth-pet.co.jp/advice/advice190602
- つだ動物病院「梅雨の時期の犬・猫の体調管理」 https://tsuda-vet.com/
- 光が丘動物病院グループ「梅雨に悪化しやすい犬や猫の皮膚炎・外耳炎」 https://www.hikarigaoka.net/dog-cat-skin-care-rainy-season
- ペットの資格「梅雨時期に注意したい犬の健康トラブル」 https://www.pet-no-shikaku.com/info/6769
- 気象庁「平年の梅雨入り・梅雨明け」 https://www.data.jma.go.jp/cpd/baiu/


